5.衛星データから土地分類ができるしくみ
 土地分類図を作る意味がわかったところで,今度は衛星データから土地分類を行うしくみについて学習しましょう。図7は衛星により地上の物体を観測するイメージを表しています。土地分類図の作成に使われる衛星データは,地上物体からの太陽反射光(太陽光が反射した光)の強さを画像化したものです。太陽反射光は,地上の物体により波長ごとの反射の強さが違います。例えば図8に示すように,水は可視光線の青の波長の反射強度(反射の強さ)が高いので,青く見えます。同様に植物は可視光線の緑の反射強度が大きく,土は可視光線の黄色の反射強度が大きいため,それぞれ緑や黄色に近い色に見えます。さらに,人間の眼では見ることができませんが,植物は近赤外線(呼ばれる可視光線より少し波長の長い領域)の反射強度が可視光線の緑の反射強度より大きいことが知られています。このように波長による反射強度の違いを分光反射特性といい,地上物体(水,土,植物等)の典型的な分光特性は多くの研究者により調べられています。
 以上のように多くの地上物体の分光反射特性はあらかじめ分かっているので,
地上からの光の強さを衛星により観測することにより,そのデータから逆に地上の物体を識別することが可能となります。これが「衛星データから土地分類ができるしくみ」です。ただし,地上物体の反射特性が同じようなものについては識別が難しい等,衛星データによる土地分類には限界があることも覚えておいてください。


 

図7 衛星により地上の物体を観測するイメージ
(出典http://www.eoc.nasda.go.jp/
experience/rm_kiso/top.html)
 

図8 地上の物体の反射特性
(出典:http://www.eoc.nasda.go.jp/experience/rm_kiso/top.html