第3回:衛星画像を使った植生調査―補足説明

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準備

用意するものは以下のとおりです。 表はワードファイルST3TAB.DOC,ヒストグラムはワードファイルST3HIST.DOCです。それぞれ開いて生徒数分,印刷してください。


近赤外波長帯における植物の強い反射

植物の葉は緑の光よりもはるかに強く近赤外の光を反射しています。そして,同じ植物でも元気かどうかで近赤外の反射の強さが異なります(元気なほど反射が強い)。これを利用すると,衛星から植物の活性度を調べることができます。

人間の目は近赤外の光が見えないので,植物の葉は緑色に見える訳ですが,もし赤く見える波長がもう少し長く,近赤外まで達していたら,人間の目には植物の葉は赤く光り輝いて見えることでしょう(生徒に説明すると興味を持つかも知れません)。

なお,チャンネル分解した後の画像をよく見ると,植物が近赤外で強い反射をしているとは言え,一般的な建造物などの反射と比べると弱い(暗い)のが分かります。しかし,緑や赤のバンドでは,植物の反射は建造物などに比べてはるかに弱い(黒っぽく見える)ので,カラー合成すると近赤外の相対的に強い反射のために赤く発色することになります。


植生指標について

植生指標には,教材で示したもの以外にも様々なものがあります。教材で示した式による植生指標は,正確には正規化植生指標(Nomalized Difference Vegetation Index, 略してNDVI)と呼ばれます。NDVIは数学的には−1〜+1の値を取りますが,実際の地表面では−0.1〜+0.7程度の値を取ります。

1つの色だけでヒストグラムを取るときと比べ,NDVIでヒストグラムを取ると,植生と植生以外の重なりがかなり小さくなるため,植生をうまく分離(識別)できます。「考えてみよう」では,こうしたことが述べられていれば良いかと思います。


アジアの植生指標図(補足説明)

雲がかかっていると,地上が見えないので,その場所のNDVIの値も得られません。そこで,ひとくちメモの画像は,11日間毎日観測した画像を組み合わせて作られました。一般に11日間ずっと曇っている場所はほとんど無いので,11日間のうち,最低1回はNDVIが観測できることになります。こうして,雲による欠損の無い,アジア全体のNDVI画像が合成的に得られているのです。

掲載した画像は以下のNASAのサイトからダウンロードしたものです。
http://daac.gsfc.nasa.gov/data/dataset/AVHRR/01_Data_Products/06_Images/

なお,このNDVI画像はAVHRRのデータを使いました。AVHRRはアメリカの海洋大気庁NOAA(日本の気象庁に相当)が運用している極軌道気象衛星NOAAシリーズに搭載されているセンサです。極軌道とは,ひまわりのような静止軌道と異なり,地球の両極を通る軌道で,ASTERが搭載されている地球観測衛星Terraも極軌道衛星です。AVHRRは気象観測が主目的なので,空間分解能は1.1kmと低いですが,観測幅は2700kmもあり,衛星2機を組み合わせることで,同じ場所を昼夜各2回は観測できるようになっています。


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