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IMG 温室効果気体センサ


地表温度(K)
(通商産業省提供)

メタン分布(mol/m2)
(通商産業省提供)

地球環境問題は現在人類が直面している深刻な問題です。
中でも、地球温暖化、オゾン層の破壊、森林消失、干ばつ、砂漠化、酸性雨等は人類の生活に直接影響を与える問題となりつつあります。
最近の研究によれば、現在の速度で炭酸ガスの排出が続くと、来世紀中には数゜Cにのぼる地球の平均気温の上昇を生じ、その結果として起こる海面上昇により世界中のほとんどの都市に影響が及ぶと予想されています。

また極地におけるオゾンホール等のオゾン層の破壊は皮膚癌の増加をもたらす可能性があることが指摘されています。

これらの問題に有効に対処するためには次のような研究を進める必要があります。

  1. 地球環境の現状の正確な認識
  2. 各種気象パラメータの測定と監視
  3. 気候モデルの高精度化

IMGの目的

現在、気象パラメータの大部分についてごく限られたことしか分っていません。気象モデルが確立されているのは、地球上のごく限られた地域に過ぎません。
例えば大気の温度データは地球の温暖化を推測する上で重要な指標ですが、海域上でのデータは極めて少ないのが現状です。更に温室効果気体の濃度分布と、その起原についてはほとんど未知の段階です。

地球規模のデータを定期的に収集するためには人工衛星の利用が必要不可欠です。
そのため、現在最もデータが不足している大気中の温室効果気体の測定を目的とした温室効果気体センサ(IMG:Interferometric Monitor for Greenhouse Gases)を通商産業(現経済産業)省/資源探査用観測システム研究開発機構(現宇宙システム開発利用推進機構)が開発しました。


IMG外観

ADEOS(宇宙開発事業団提供)

IMGは宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)の地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS:Advanced Earth Observing Satellite)に搭載されて1996年8月に打ち上げられましたが、1997年6月に衛星事故により運用を中止しました。
現在までに取得されたデータは解析されました。

期待される効果

IMGにより以下のことが測定できるものと期待されています。

  1. 地球の熱放射収支の正確な測定
  2. 地表温度及びその上部大気の垂直方向温度分布の正確な測定
  3. 大気微量成分の測定
    a.炭酸ガスと水蒸気の高さ方向の分布
    b.オゾン全量
    c.メタン、酸化窒素、-酸化炭素の対流圏混合比

IMGセンサシステム

IMGは地表及び大気からの赤外放射のスペクトルを高精度に測定することができます。
この赤外スペクトルは地球の放射収支、大気温度の垂直分布、地表温度、雲の物理的特性等を評価するために非常に有効です。
また赤外スペクトルには大気成分の放射吸収特性も表れます。
IMGで得られる高精度のスペクトルによって水蒸気や温室効果気体の大気中の濃度を推定することができます。

大気中の微量成分気体、例えば二酸化炭素、メタン、酸化窒素、フロン等の濃度増加は顕著であり、これらは人類の活動(例えば化石燃料の燃焼、森林破壊等)により、引き起こされています。
しかし現状では、これらの気体の人為的発生源の分布や発生量については限られた知識しかありません。
更に陸上、海上における生態系がこれらの気体の吸収、排出にどのような影響を及ぼしているかについてもほとんど分かっていません。
IMGを用いて微量成分気体の濃度変化を測定することにより、放射源や吸収源についての知識が得られます。


IMG内部外観

干渉計

IMGはマイケルソン干渉計を用いたフーリエ変換赤外分光計です。
入射光はビ-ムスプリッタにより2つの光路に分割され、鏡により反射されていずれも検知器に向かいます。
このとき片方の鏡を光軸に平行に移動させると光路長の変化により赤外検出器上の光の強度が変動します。

この変動を測定したデータはインターフェログラムと呼ばれ、入射光をフーリエ変換したものになっています。
従って得られたデータを逆フーリエ変換することにより入射光スペクトルが得られます。光学系の口径は高いS/N比を得るため10cmとなっています。
移動鏡は磁気軸受で保持され、リニアモータにより10cmの距離を10秒間で移動します。
この動作により、0.1cm-1の分解能でスペクトルが得られます。


大気吸収スペクトル
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