2008/8/12 up

ASTERによる岩手・宮城内陸地震の観測結果

 2008年6月14日の朝、岩手県内陸南部を震源とした、マグニチュード7.2の地震が発生した。最大震度は6強を観測し、多くの土砂災害が発生し、死者・行方不明者は20名を越える大惨事となった。
 ASTERプロジェクトでは、地震直後より緊急観測により当地域の観測を3日に1回のペースで実施してきた。被雲のため良好な観測画像の取得まで時間を要したが、7月2日に雲のない画像の取得に成功した。図1にその観測画像を示す。



図1 観測画像


 また、あらかじめ観測していた2001年9月21日の画像と比較して、被災状況を判読した。
災害判読範囲における地震前後の画像を図2と図3に示す。

図2 地震前の観測画像


図3 地震直後の観測画像
 この比較の結果により、大規模な山体崩壊・土石流・河道閉塞が発生した箇所が判読された。その幾つかの例を以下に示す。

A:市野々原河道閉塞(図4)磐井川の右岸斜面が崩壊し土砂が川を堰き止めている状態が見られる。

図4  判読結果(A:市野々原河道閉塞)


B:栗駒ダム上流側斜面崩壊(図5)崩壊した土砂が民家近くまで押し寄せている様子が見られる。

図5  判読結果(B:栗駒ダム上流側斜面崩壊)


C:栗駒山周辺(図6)荒砥沢ダム上流部で発生した大規模地すべりの様子や、駒の湯温泉を襲った土石流の発生が見られる。

図6  判読結果(C:栗駒山周辺)


 また、ASTERの観測では、画像と同時にデジタル標高モデル(DEM)を取得できる。図6の地域について、画像とDEMを組み合わせた作成した鳥瞰図を図7に示す。


図7 広域鳥瞰図(C:栗駒山周辺)