1
グレートダイク
ジンバブエ

(S20 30/W29 40)

500km以上連続する大貫入岩体 グレート・ダイク,ジンバブエ
Great intrusive body with 530km length, The Great Dyke, Zimbabwe
ジンバブエ共和国にある始生代(約24.6億年)の苦鉄質〜超苦鉄質の貫入岩体。花崗岩体中の割れ目に沿う貫入岩で、幅3〜12km、北北東〜南南西に総延長530kmにも及び、ジンバブエ南部をほぼ縦断する。この画像はそのうち南端の約80kmの部分である。
 画像中にはグレートダイクを横切る断層が数本認められるが、このうち上部の北西〜南東に延びる右横ずれ断層が顕著であり、ダイクが数kmあまりずれており、断層に沿う河川がこのダイクを横切っている。
 この貫入岩体中のほぼ全体に白金やクロムの有用金属鉱床が分布し、ジンバブエの経済を支えている。

2
ブッシュフェエルト複合体
南アフリカ


(S25 30/E27 30)
世界最大級の塩基性〜超塩基性岩体 ブッシュフェルト複合岩体,南アフリカ共和国
The world's largest class of igneous bodies, Bushveld Complex, South Africa
 ブッシュフェルト複合岩体は、原生代トランスバール系の上部に貫入した層状塩基性岩および花崗岩質岩からなる。その分布規模は東西480km、南北240kmに及び、層状の塩基性〜超塩基性岩体としては世界最大級のものである。
 この複合岩体のうちのルステンバーグ・レイヤード系列は白金・クロムを主とする有用鉱物が腑存しており、この系列のメレンスキー・リーフとよばれる層準は白金族元素を特徴的に含むことで有名である。
 この画像はブッシュフェルト複合岩体のうち、西部岩体の南半を撮影したもので、南縁部外側に白金・クロム鉱山が分布する。
3
リシャット構造
モーリタニア


(N21 00/W11 20)
サハラ砂漠から覗く巨大な地球の眼,リシャット構造,モーリタニア
The huge eye of the earth in the Sahara desert, Richat Structure, Mouritania
 アフリカ北西部、中央モーリタニアのサハラ砂漠西端にあるリシャット構造は、直径が約38kmにも及ぶ巨大な環状構造である。
 当初、リシャット構造はインパクト・クレータと考えられていたが、特有の鉱物が存在しないこと、直径に比べて深さが浅いことなどから、貫入岩によって形成されたドーム構造であるとされている。ドームの周縁部は浸食に対する抵抗度の高い珪岩で構成され、周囲から100m程度の高さを有す。
 画像の上部に見られるように、リシャット構造の北にはサハラ砂漠のマクテール(Makteir)砂丘が広がる。
4
ケシム島
(イラン)


(N26 50/E55 30)
ホルムズ海峡の巨大な岩塩ドーム,ケシム島,イラン
The great salt dome in the Holmuz straight, Qeshm Island, Iran
 イラン南東端のホルムズ海峡に浮かぶケシム島。画像左下に見事な岩塩ドームが認められる。
  岩塩ドームは堆積岩が厚い岩塩層の上に堆積した場合に生じる。塩は周囲の岩石よりも比重が小さいので浮き上がり、上位 の堆積層を変形させる。
  地質学的に不安定な地域では、岩石の変形や変動から生じる圧力が塩を上部へ押し上げることもある。石油埋蔵がある場合は、それらは塩分含有層の側面 に沿い形成されていることが多い。それゆえ岩塩ドームは石油探鉱のうえで重要な地質学的対象となる。また画像上部のラグーンを縁取る赤い部分は、ペルシャ湾で貴重なマングローブの分布域を表す。
5
アイザクセン岩塩ドーム
(カナダ)


(N78 40/W101 40)

北極圏の岩塩ドーム,アイザックセン岩塩ドーム,エルフ・リングネス島,カナダ
Salt dome in the Arctic, Isacksen salt dome, Elf Ringnes Isl. NWT, Canada
 北極圏カナダのクイーン・エリザベス諸島のひとつ、エルフ・リングネス島にみられるアイザックセン岩塩ドーム。ドームは約6kmの直径を有し、白亜紀層に貫入するシルル紀後期の蒸発岩よりなる。この周囲にもいくつかの岩塩ドームが存在する。これらは地下深くにカンブリア紀後期からシルル紀後期にかけて非常に厚い蒸発岩が形成されたことを示している。
  北緯75〜78度の北極圏にかけて蒸発岩が存在している事実は、それらの堆積当時の地質時代はカナダ楯状地形成の気候が高温で乾燥していたことを示している。
6
死海
(イスラエル)


(N31 10/E35 20)
世界で最も低い土地にある最も塩分濃度の高い湖,死海,イスラエル
The world's lowest altitude & highest salinity lake, Dead Sea, Israel
 地球上で最も低い陸地に位置する死海は、南北に走る死海地溝沿いに形成された塩湖である。湖面水位は−395mであり、塩分濃度は31.5%と平均的な海水の7〜8倍の塩分濃度を示す。
  画像右上に見える湖は死海の南西端で、死海地溝帯の西縁にあたる。死海地溝帯はアフリカプレートとアラビアプレートの境界線に沿うプルアパートベーズンで、断層沿いには複雑な変動のあとが認められ、断層に雁行する構造がいくつか画像にも見られる。
  もともとはこの地に広がっていた海が後退して塩湖となり、激しい蒸発のため塩分がより濃縮していった。
7
ドメイコ山脈
(チリ)


(S23 40/W68 50)
世界で最も乾燥した山脈,コルド・ドメイコ,チリ共和国
The world's lowest humidity mountain range, Cord Domeyko, Antofagasta ,Chile
< チリ共和国北部のアントファガスタに連なるドメイコ山脈は標高は3,000mを超え、世界中で最も乾燥した地域のひとつである。
  ドメイコ山脈は、広い範囲を主として火山噴出物からなる第三系で覆われている。画像の端には、ほぼ南北みドメイコ断層系が縦貫している。
  この地域はストックワーク型の金・銀鉱床の他、鉱脈型の金・銀鉱床が確認されており,世界有数の金属資源胚胎ゾーンである。
8
サンアンドレアス断層
(米国)


(N34 30/W118 00)
プレート境界のトランスフォーム断層,サン・アンドレアス断層,カリフォルニア州,米国
Transform fault along plate boundary, San Andreas Fault, California, USA
 カリフォルニア州を北北西ー南南東に縦断する右横ずれの大断層。北アメリカプレートと太平洋プレートの境界に沿って顕著に生じるトランスフォーム断層である。その延長は確認されている範囲だけでも1200kmを超える。断層の平均移動速度は約2cm/年に達すると推定されている。
  1989年のLoma Prieta地震はこのプレート境界に発生し大きな被害を与えたが、マグニチュードは7.1であり、最大のものではなかった(過去の最大は1906年にサンフランシスコ近傍で発生した8.25のもの)。
  画像はロスアンゼルス北部のPalmdale付近で、ほぼ中央を断層が横断する。
9
アンチアトラス山脈
(モロッコ)


(N28 45/W09 30)
アフリカ大陸の衝突が作った褶曲,アンチアトラス山脈,モロッコ
Fold mountains by the corision of African plate, Anti-Atlas Mountains, Morocco
 モロッコ南西部、アンチアトラス山脈の南側Taidalt付近の画像である。アトラス山脈の見事な褶曲構造が認められる。
  アトラス山脈は、新生代造山運動におけるアフリカ大陸とユーラシア大陸が衝突し、テチス海の閉鎖にともなう運動により形成された。スペインのベティック・コルディエラ山脈、モロッコ南部に長く延びるアトラス山脈、さらにその南側のアンチアトラス山脈からアトラス山脈系を構成する。
  山岳地帯の暗い緑色に見えるカンブリア紀の粘板岩、石灰岩、砂岩などの抵抗性の強い岩石がよく保存されており、きわめてはげしい隆起運動のしるしが明瞭に残る。
10
スレイマンスラストベルト
(パキスタン)


(N31 00/E69 30)
インド亜大陸の衝突の産物(褶曲),スレイマン・スラストベルト,パキスタン
Fold system by the Indian subcontinent drift, Sulaiman Thrust Belt, Pakistan
 パキスタン中央部のスレイマン山脈。この東および南方にはインダス川の広大な沖積平野・平原が広がる。
  インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突した際、その西側が押されて形成されたスレイマンスラストベルトが画像に明瞭に認められる。地表地質は全体にスレイマンスラストベルトの北部から南部に向かって、より新しい時代の地層が露出しているが,ベルト中には何枚かのスラストシートが発達し、古第三系と白亜系が繰り返すように地表に認められる。
  スレイマンスラストベルトはパキスタンの主要産ガス地域のひとつであり、1950年代から始まった石油探鉱でも巨大ガス田の発見が相次いだ。
11
ジンダピア背斜構造
(パキスタン)


(N30 30/E70 20)
インド亜大陸の衝突の産物(背斜),ジンダピア背斜構造,パキスタン
Anticline structure by the Indian subcontinent drift, Zinda Pia Anticline Structure, Pakistan
 パキスタン中央にある第三紀層からなる背斜構造で、この西側に分布するスレイマン山脈(前出の画像10)とともに、インド亜大陸の北への移動に伴うアフガンプレートとインド亜大陸の衝突による圧縮場により形成された。
  この背斜構造中にはガス層が分布し、画像のさらに北側の背斜構造中には巨大なガス田が発見された。
12
ザグロス山脈南東部
(イラン)


(N27 40/E55 30)
アラビアプレートの衝突の産物(背斜),ザグロス山脈南東部,イラン
Anticlinal structure by the Arabian plate drift, Souteastern part of Zagros Mountains, Iran
 イラン南部のザグロス山脈の最南東部の画像。植生はほとんど認められなく、地質構造がよく把握できる。
 イラン南端の大部分はかつては大テチス地向斜であった。それは現在の地中海とそれをとりまく山脈を通 って北西に延びていた。新生代に激しい変形を受け、その活動は鮮新世に最も盛んになった。
  ザグロス山脈では第三紀の石灰岩と砂岩が褶曲して巨大な背斜を作っている。その背斜が浸食され、白亜紀の岩石が露出している。画像中央と南部の淡い青色の地層は石灰岩層であり、それを取り囲む茶色の地層は砂岩層である。
13
ザグロス山脈北西部
(イラン)


(N33 50/E47 00)
アラビアプレートの衝突の産物(背斜),ザグロス山脈北西部,イラン
Anticlinal structure by the Arabian plate drift, Northwestern part of Zagros Mountains, Iran
 イラン西部、イラク国境に近いザグロス山脈北西部のSarneh付近の画像。ザグロス褶曲構造がよく発達している。
 ザグロス褶曲帯はペルシャ湾に沿って西北西-東南東に延長するザクロス山脈を構成し、逆断層とナップ構造が発達している。アラビア卓状地に堆積した最上部カンブリア界以降の堆積物からなり、褶曲軸が10〜20kmの幅で繰り返する褶曲構造と、岩塩ダイアピル構造の発達が特徴である。褶曲の生成は鮮新世以降。ダイアピルは最上部先カンブリア界のHormuz Salt層から由来し、白亜紀が主要な形成時期である。
14
ピルバラクラトン
(オーストラリア)


(S22 30/E116 45)
先カンブリア時代の巨大鉄鉱層,ピルバラクラトン,西オーストラリア
Huge Iron Formations, Pilbara Craton, Western Australia
 オーストラリア北西部に分布する始生界からなる安定地塊であるピルバラクラトンの画像。北部は始生代の約36〜28億年前に形成された花崗岩・グリーンストーンから構成される。南部は、始生界〜原生界からなる堆積盆地で、そのうち緑色で示されるハマズリー層群は、縞状鉄鉱層で特徴づけられ、世界最大の鉄鉱層を形成する。
  堆積時期と考えられている25億年前の地球は、酸素が急激に供給された時代であり、水中の2価の鉄が酸化されて沈殿し、巨大な鉄鉱層となったといわれている。また、そのような酸素を供給したと考えられるストロマトライトやバクテリアの化石が周辺の地層から発見されており、地球上の環境変化を知る重要な手掛かりを、これらの地層は物語っている。
15
レイクリーク
(オーストラリア)


(S31 00/E138 30)
原生代堆積岩の隆起,レイクリーク,フリンダース山脈,南オーストラリア
Uplift of Proterozoic sedimentary rocks, Leigh Creek, Flinders Range, South Australia
 南オーストラリア、アデレードの北約500kmのレイクリーク付近であり、ゴウラークラトンの西側に位置するフリンダース山脈の北部に位置する。
 フリンダース山脈は原生代の堆積岩が隆起したブロックであり、それにカンブリア紀の岩石が包み込まれている。この山脈はアデレードの北約650km付近を、南オーストラリア州の南半分を貫いて数百キロメートルにわたって北向きに走る。山地の中心部にはダイアピリックの貫入岩が露出している。それはサンクランドと呼ばれるトラフの東側に沿って分布する。
 フリンダース山脈の中ではウラン、金、亜鉛の採掘が、レイクリークでは三畳紀の石炭の露天掘りが行われている。
16
サマイル・オフイオライト
(オマーン)


(N23 25/E57 15)
世界最大規模のオフィオライト,サマイル・オフィオライト,オマーン
The world's largest outcrop of ophiolite, Semail Ophiolite, Oman
 アラビア半島オマーンにあるナップとして衝上する世界最大規模のオフィオライトであるサマイル・オフィオライト。
 画像ほぼ中央部を境に下部(南部)では、背斜構造を示すアフダル構造ユニット(Jebel Akhdar Structure)が、一方、画像の上部(北部)では、ナップとして衝上する世界最大規模のオフィオライトであるサマイル・オフィオライトが明瞭に識別できる。
 サマイル・オフィオライトは、幅80km、延長500kmの広がりを持つ世界最大規模のもので、白亜紀末にユーラシア大陸とアフリカ〜アラビア大陸が衝突したときに、間にあったテチス海プレートが断片化し、衝上したものと考えられている。
17
トルドス・オフィオライト
(キプロス)


(N35 10/E32 45)
キプロス型塊状硫化物鉱床,トルドス・オフィオライト,キプロス
Troodos Ophiolite, Cyprus
 地中海東部に浮かぶキプロス島北西岸。画像中央の黒っぽい岩石はトルドス・オフィオライト。 オフィオライトは造山帯に産する玄武岩・斑れい岩・かんらん岩などの層状複合岩体で、過去の海洋性地殻が造山運動によって大陸地殻に衝上したもの。 中生代のアルプス・ヒマラヤオフィオライト帯。
 キプロスのオフィオライトには、キプロス型塊状硫化物鉱床と呼ばれる塊状黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱鉱床が分布する。画像の右上と右下に認められる青色の円形部分は、現在操業が続けられている露天掘りの鉱山である。
 銅の英語であるCupperはキプロスを語源とした言葉である。
18
グリーンストーン帯
(ブルキナファッソ)


(N11 50/E01 55)
先カンブリア時代のグリーンストーン帯,ブルキナファッソ
Precambrian Greenstone Belt, Burkina Faso
 アフリカ中西部、ブルキナファッソ東端(ニジェール、ベニン国境付近)。地質はグリーンストーン帯に対比されるBirrimian累層群が分布する。この累層群分布域には断層に規制された鉱脈型金鉱床が緑色岩中やその近傍に分布し、手掘りによる採掘が多く認められる。
 グリーンストーン帯は先カンブリア時代の安定地塊に分布する火山岩・火山砕屑物・堆積岩などからなる地帯。大量の花崗岩類を伴う。火山性岩石は変成して深緑色を呈すためこの名がある。
  半乾燥地域であるサヘル特有の表層環境が認められ、川沿いには潅木が分布し、表層は風化程度によりラテライト皮殻、風化砂層、基盤岩(原岩)が分布する。
19
エアーズロック
(オーストラリア)


(S25 20/W131 00)
世界最大の1枚岩,エアーズ・ロック,オーストラリア
The world's biggest monolith, Ayers Rock (Uluru) & Mount Olga (Kata Tjuta) , Northern Territory, Australia
 オーストラリアのほぼ中央部に位置するエアーズ・ロック(上図)とその西方30kmのところにあるマウント・オルガ(下図)の画像。
 エアーズ・ロックの正式名称はウルル、先カンブリア時代の岩層によって構成される高さ348m、長さ3.6km、幅2.5kmをもつ世界最大の一枚岩である。エアーズ・ロックの成因は、それを構成する岩石が非常に硬い砂岩であり他の岩石にみられる割れ目がないため、周囲の岩石が風化して砂となり運び去られた後に次第に平原上に突出してきたと考えられている。
 一方、マウント・オルガの正式名称はカタチュタで36個の岩塊の集合体である。
20
カナダ楯状地
(カナダ)


(N67 30/W111 30)
世界最古の岩石からなる楯状地,カナダ楯状地,北西準州,カナダ
The world's oldest shield, Canadian Shield, Northwest Territories, Canada
 北アメリカ北東部に分布する世界最大の先カンブリア盾状地で大部分がカナダに位置する。ローレンシア楯状地(Laurentian Shield)とも呼ばれる。
 カナダ楯状地は中央部に向って低くなっており、最も低いところにハドソン湾を形成している。また、カナダ楯状地は、造山帯に基づいて幾つかの地質区に区分されており、画像で示された地域は”Churchill区”と呼ばれる。このChurchill区の多くは、変成岩や花崗岩類で構成されている。
 植生はまったく認められなく、氷河期に削られた無数の傷跡が浮き出されている。
21
西部山脈
(ペルー)

(S14 40/W74 30)
浸食による地表面 の彫刻,西部山脈,ナスカ北東,ペルー
Earth engraving by erosion, Cordillera Occidental, Peru
 ペルー南部、ナスカ市の北東の西部山脈の画像。標高は3,000mを超える地域である。
 ペルーの太平洋岸はきわめて雨が少なく、世界で最も乾燥した地域のひとつである。まれに降る雨は豪雨となることが多く、急斜面を太平洋に向かい一気に流下し、植生のほとんどない地表面を削り取り、深い直線的な谷を形成している。
22
阿蘇カルデラ
(日本)


(N32 50/E131 00)
世界的に巨大なカルデラ,阿蘇カルデラ,九州,日本
The world's largest class of cardela, Aso cardela, Kyushu, Japan
 九州中部にある南北25km東西18kmの広がりをもつ世界的規模のカルデラ。画像はそのうちの南西部約1/4の範囲。
 阿蘇山は約30万年前から8万年前までの間に4回の大きな火砕流を噴出し、それが流下して平坦な裾野斜面を形成した。この大量な噴出物の放出により、火山体が陥没しこの巨大なカルデラが形成されたとされている。
 カルデラ底には水田が広がり、約10万人が居住する集落が分布している。画像右上には2つの沼をもつ草千里と、その右に青黒い噴出物に覆われる阿蘇山火口が見える。
23
ベスビオ火山
(イタリア)


(N40 45/E14 25)
ポンペイを一瞬のうちに埋没させた火山噴火,ベスビオ火山,イタリア
Catastrophic eruption that buried Pompeii, Vesuvio Volcano, Italy
 イタリア、ナポリの東に位置する第四紀の複合成層火山であるベズビオ火山の画像。基盤はジュラ〜白亜紀の石灰岩、第三紀の堆積岩類などから構成される。火山のマグマ溜まりは、さらにその下位の三畳紀の石灰岩層中にあると考えられている。
  更新世後期に活動が始まり、粗面岩質の溶岩・火砕物質からなる火山体の上に、対称的な円錐状の成層火山Sommaが生じた。紀元後79年に大規模な噴火が始まり、多量の軽石や火山灰の火砕流が,南東部の山ろくを埋め尽くし、ポンペイ(Pompeii)とエルコラーノ(Herculaneum)の町を埋没した。その後1631年まで活動を停止したが、1632年以後今日まで規則的な噴火を繰り返している。
24
セント・へレンズ火山
(米国)


(N46 20/W122 10)
火山噴火による大規模山体崩壊,セント・へレンズ火山,ワシントン州,米国
Debris avalanche by the eruption of St. Helens St. Helens Volcano, Washington, USA
 米国北西部ワシントン州にあるセント・へレンズ成層火山。北米ハイカスケード火山帯に属す。
 1980年に123年ぶりの噴火が起こり、マグマの貫入に伴う山体崩壊により、カルデラは北に開いた馬蹄形(直径約2km)に変形した。この際に流れ出した岩屑なだれや火山泥流の傷跡は青灰色を呈し、今でも明瞭に認められる。
 噴火以前は美しい対称的な成層火山であったが、噴火によってその標高は約400mも低くなり、北にあるスピリット湖は火山泥流の堆積で形状が大きく変わった。
 噴煙は成層圏にまで達し、降灰は北米全土に及び、この年の異常気象の一因となった。
25
パンパ・ラクサー複合溶岩
(ボリビア・チリ)


(S20 50/W68 10)
アンデス山脈の火山,パンパ・ラクサー複合溶岩,ボリビア・チリ国境
The active volocano in the Andes Mountains, Pampa Luxsar lava complex, Bolivia - Chile border
 南米ボリビアとチリの国境付近に位置するパンパ・ラクサー複合溶岩。中央の火山は約3,800mの標高をもつラクサー山(Cerro Luxsar)。画像の右上隅には広大なウユニ塩地(Salar de Uyuni)の南西端が認められる。
 いくつかの火山から流れ出して分布する溶岩は、画像では色調や表面の肌目がことなり、溶岩の成分や噴出時期の違いを反映している。最も大きな火山であるラクサー山の山腹は安山岩、玄武岩質安山岩溶岩から構成されるなめらかな斜面となっている。
 アンデス山脈の多くは、きわめて乾燥した環境にあり植生がほとんど認められないため、衛星センサは地表面の地質分類に貴重な情報を提供してくれる。
26
エレバス火山
(南極)


(S77 32/E167 10)

南極大陸の”熱い”山,エレバス火山,ロス島,南極
The hottest spot in Antarctica, Mt. Erebus, Ross Island, Antarctica
 エレバス火山は1841年にイギリスのジェームス・ロス探検隊により発見され、1908年同じくイギリスのアーネスト・シャクルトン隊により火口のカルデラ壁に初登頂された南極大陸で最も活発な活動を続ける火山である。
 1日に数回のストロンボリ式噴火を繰り返し、山頂部には世界でも珍しいフォノライトの溶岩湖を有す。この山は成層火山を呈し、画像にみられるように三重のカルデラにより構成されている。
  エレバス火山から南側に延びるHut Point半島の先端には米国最大の南極観測基地であるMcMurdo基地とニュージーランドのScott基地が位置する。

27
タネズルフト盆地
(アルジェリア)


(N25 40/E02 45)
サハラ砂漠の抽象芸術,タネズルフト,アルジェリア
The abstract art by the Sahara, Tanezrouft Basin, Sahara Desert, Algeria
 アフリカ北部、南アルジェリアのサハラ砂漠に位置するタネズルフト・ベーズン。タネズルフトが”恐怖の土地”を意味するとおり、何もない荒れ果てた部分である。最も近いオアシスIn Salarは北方約150kmにある。
 まるで抽象画のように幾状もの平行線が蛇行して描かれているが、古生代の堆積層が風による浸食を受けて堆積面が表面に現れた模様である。
 黄色い部分の砂と、白い部分の塩と、青い部分のシルト質のコントラストが不気味である。
28
ナミブ砂漠
(ナミビア)


(S25 30/E15 10)

砂漠と海の出会い,ナミブ砂漠,ナミビア
The interaction of ocean and desert, Namib Desert, Namibia
 砂漠と海が出会う場所、アフリカ南西のナミブ砂漠の画像。 ナミブ砂漠は典型的な海岸沿いの砂漠である。その特色は暖かい空気が冷たいベンゲラ海流にぶつかってできる霧である。しかも、その霧も細く帯状に延びた沿岸地帯では、たちまち消えてしまい、内陸部まではほとんど雨はとどかない。
 幅広い砂丘地帯が、風向きと直交方向に延びて、海岸線まで続いている。海岸から内陸に向けて、砂丘の色は青白〜青〜黄色〜黄白〜黄色と約10kmの波長で変化し、砂丘の波長も色調の違う場所毎に異なっている。
 画像右上の露岩付近では北からの風に押された砂が露岩を乗り越える。露岩に挟まれる地域は風向きが複雑になるため,砂丘が形成されない。

29
グランデルグオリエンタル
(チュニジア)


(N30 20/E09 20)
砂漠にちりばめられた星群,グランデルグオリエンタル,チュニジア
The star dunes in the Sahara desert, Grand Erg Oriental, Tunisia
 アフリカ北部、チュニジア・リビア・アルジェリア国境付近のグランデルグオリエンタル砂漠(大東部砂漠)。星状、あるいはくらげのような形状をした砂丘が連続する。
 砂丘は乾燥地帯で風により運搬された砂が堆積して形成された地形であるが、砂の供給、強い風および植生が無いことがその形成条件である。ある一定方向の風が定常的に吹く場合はその強度と砂粒の関係で横列または縦列の砂丘となるが、このグランデルグオリエンタルでは強い風の方向が一定ではないため、星状の砂丘が発達したものと推定される。砂丘の平均比高は約100m、広がりは約2kmである。
 砂丘の南には約250km西方のHassi Messaoud油田から地中海岸まで連続するパイプラインが通る。
30
ルブアルハリ砂漠
(サウジアラビア)


(N18 50/E48 20)

砂漠・砂漠・砂漠・・・,ルブアルハリ砂漠,サウジアラビア
Endless dunes, Rub Al Khali Desert, Saudi Arabia
 アラビア半島南部、サウジアラビアのルブアルハリ砂漠。典型的な縦列砂丘群である。北東から吹きつける強い貿易風と、適度の砂の供給からこのような風向きに平行な砂丘が形成される。
 砂丘の形状はほぼ同じであるが、画像右下の黄色帯は左上の青色帯に比べて主砂丘の比高が高く、谷間に形成される砂丘群の発達も著しい。
 ルブアルハリはアラビア語で空白の区域を意味する。砂丘のほかは何もない世界が数100km以上も連続する。

31
ルブアルハリ砂漠
(サウジアラビア)


(N20 30/E54 10)
三日月砂丘,ルブアルハリ砂漠,サウジアラビア
Complex Crescentic Dunes, Rub Al Khali Desert, Saudi Arabia
 アラビア半島南部、サウジアラビアのルブアルハリ砂漠。前出の「画像30」の北側に位置する。三日月型の砂丘が列状に分布している。この形状の砂丘はバルハン(barchan)砂丘とも呼ばれ、砂の供給が少なく、一定方向の風が強く吹くところで形成される。
 アラビア半島はアデン湾に沿ってアフリカから分離し移動した構造であり、その結果形成された褶曲構造は世界最大の石油胚胎する場である。この地域の地表面は塩分の飽和したシルト、粘土および泥質の砂からなり、サブカ堆積物と呼ばれ、画像で青く見えている。その上に黄色で示される砂が堆積して、独特の形状とパターンを示している。
32
マナウス
(ブラジル)


(S03 10/W59 50)
密度流:混ざり合わない河川,アマゾン川とリオネグロ川,マナウス,ブラジル
Density current ; Unmixed river water, Rio Amazonas and Rio Negro, Manaus, Brazil
 ブラジル北部マナウス付近に位置するアマゾン川とネグロ川の合流点。懸濁物の少ないネグロ川と懸濁物の多いアマゾン川の2つの大河は。合流後もすぐには混じりあわず同じ河道を平行して100km以上も流れつづける。
 アマゾン川はその流量が世界最大で。世界中の河川から海へ流れ込む淡水の流量の約15%を占める。また流域面積はブラジル国土の半分余りを占める広大なものである。
 ネグロ川の黒い色とアマゾン川の青い色はそれが運ぶ大量の堆積物の量の違いによる。アマゾン川はエクアドル。ペルー。ボリビアそして広大なブラジル西部の流域から供給される土砂を大西洋へと運びつづけている。
33
シャット・アル・アラブ・デルタ
(イラク・クエート)


(N29 45/E48 00)
チグリス・ユーフラテスの河口,シャット・アル・アラブ・デルタ,イラク・クェート国境
Mouths of the Tigris and the Euphrates, Shatt al Arab Delta, Iraq - Kuwait border
 中東、ペルシャ湾の最奥部に位置するジャジラット・ブービーヤン島(Jazirat Bubiyan)の画像。チグリス・ユーフラテス川がアルクルナー(Al Qurnah)で合流後、シャット・アル・アラブ川と名を代えて、さらにイランのザグロス山脈から発するカルン川(Karun River)を合流しペルシャ湾に注ぎ込む。ジャジラット・ブービーヤン島はデルタ南端の島で、中央にイラクとクェートの国境が通る。
  島の南部やアラビア半島の海岸部の白い部分は、高波時に冠水し塩分が蒸発した場所と考えられる。
34
ガンジス川デルタ
(バングラディシュ)

(N22 00/E90 45)
世界最大規模のデルタ,ガンジス川デルタ,バングラディシュ
The world's largest class of delta, Ganges Delta, Bangradish
 バングラディシュ南端、ガンジス川デルタ。ヒマラヤ山脈南西部に発するガンジス川と同山脈北西部に発するプラマプトラ川が合流した後、約300kmもの間互いに激しく合流・分流を繰り返し、複雑な網状の水系を形成している。この付近一帯はガンジスデルタと呼ばれ面積は約6万平方kmにも及ぶ。世界最高峰の山岳地帯と,世界有数のモンスーン地帯がこの世界最大のデルタを作り出した。
  画像はその南端部で、河底(海底)は淡い青色の色調で、水深が極めて浅く海底での堆積が進行していることを示す。画像南部の濃い赤色はマングローブ、ニッパヤシなどが群生している森林地帯でサンダルバンと呼ばれている。
35
カッチデルタ
(インド)


(N23 50/E68 30)
デルタの巨大迷路,カッチデルタ,インドc
Great Maze inside Delta, Kutch Delta, India
 インド西部のカッチ湾のデルタ。北はカッチ大湿地(Great Rann of Kutch)、西はカッチ小湿地(Little Rann of Kutch)、南はカシワ−ル半島に囲まれた地域。
 グジャラット州の西部大部分は、海水面とほぼ同じ高さの第四紀の沖積平野に発達した塩分に富んだ巨大な湿地からなる。カッチの湿地は、リトルランとグレートランに分けられ、リトルランには迷路のような水路があり、また2つのランは部分的に水はけの悪い泥地となっており、乾いた塩で覆われた古い泥の平地が分布する。
  地表面に残る塩は、雨季に南西から強く吹き付けるモンスーンの影響により海水が湾内に押し寄せられ地表を覆い、それが乾季に乾燥して形成されたものである。
36
ミシシッピーデルタ
(米国)


(N29 10/W89 30)

メキシコ湾の鳥の足跡,ミシシッピー・デルタ,ルイジアナ州,米国
Bird Foot Delta, Mississippi Delta, Louisiana,USA
 ミシシッピー川が比較的深いメキシコ湾に注ぎ込む鳥趾状に発達したデルタである。植生のある赤の部分、浮遊物濃度の高い淡青の部分とそれが低い黒い海面が認められる。
 このデルタは主要な分流の広がりとともに成長したもので、潮流や波の破壊力を堆積速度が上回っため形成された。河道の先端に淡青色の流れが見られることから、このデルタが成長過程であることを示す。
 ミシシッピー川は数百万年前からメキシコ湾に流れ込んでいる。現在のミシシッピデルタの両側には古いデルタが浅瀬として残存していることが画像から読み取れる。現在の河道はかつて成長した古いデルタを成長させた河道であり、現在のデルタは最終氷河期が終了して海面上昇後に形成された。

37
野付半島
(日本)

(N43 30/E145 15)

鉤状の砂嘴,野付半島,北海道,日本
Hooked Spit, Notsuke Peninsula, Hokkaido, Japan
 北海道の東部根室海峡に面する野付半島。独特の形状を示す砂嘴。周囲の海岸付近の砂礫や河川から運搬された砂礫が、沿岸流により運ばれて作られた地形。野付半島では先端部がいくつにも分岐し、内陸部に曲がった鉤状砂嘴を形成している。
 北に位置する知床半島沿いに流れ込む定常的な海流によりつくられ、外海側では粗粒の、内陸側では細粒の堆積物が分布する。
 半島の内陸側は尾台沼と呼ばれ、また先端部には以前の森林が枯れて埋もれた観光名所トドワラがある。

38
グレートバリアリーフ
(オーストラリア)


>(S16 30/E145 50)

世界最大のサンゴ礁群,グレートバリアリーフ,クイーンズランド,オーストラリア
The world's largest size of coral reefs, Great Barrier Reef, Queensland, Australia
 グレートバリアリーフはパプアニューギニアの南海上から南回帰線まで2,000km以上にわたり延々と続く世界最大のサンゴ礁群である。このサンゴ礁群は海岸から数キロメートルから数十キロメートル離れて陸地に平行して発達する。
 この画像はオーストラリア・クイーンズランドのケアンズ沖のサンゴ礁群であり、最もオーストラリア大陸に近いところにある。
 サンゴが繁殖するためには暖かく、しかもきれいな海水が必要であり,現在の環境はサンゴ礁の形成に最適なものであると推察される。

39
コモ湖
(イタリア)


(N46 00/E09 15)
氷河の跡に水を湛える湖,コモ湖,ロンバルディーア州,イタリア
Glacial Lake, Lago di Como, Lombardia, Italy
 イタリア北部、ミラノの北約40kmにあるコモ湖周辺の画像。西のマジョレー湖、ルガノ湖などとともにモレーンまたは氷堆積にせき止められた湖である。この地域は北部湖水地方として有名な観光地である。これらの湖から流れ出す河川はポー川に合流し、アドリア海に注ぎ込む。コモ湖は長さ約46km、最大幅4.3kmの湖で、深いところは420mもありヨーロッパ最深の湖といわれている。
  コモ湖の南には最終氷期に氷河の流動に伴って押し出された終堆石群(terminal moraine)が分布し、その内側には氷河湖がいくつか認められる。
40
アスパイアリング国立公園
(ニュージーランド)


(S44 30/E168 20)
氷河が削ったU字谷,アスパイアリング国立公園,ニュージーランド
U-shape valley by glaiciation, The Aspiring National Park, S. Island, New Zealand
 ニュージーランド南島の南西部、南アルプス山脈に位置するマウントアスパイアリング国立公園。1万4千年前の氷河期末期に氷河が後退した名残であるU字谷が認められる。
 一般に河食によりできる谷はV字の横断面をもつが、氷食による場合はU字を示す。U字谷の横断面は、急な谷壁とそれと対照的に融氷河流堆積物が分布する平坦な谷底面の組み合わせが特徴である。
 この地域はテ・ワヒポウナムと呼ばれ、クック山、フィヨルドランド、ウェストランド、アスパイアリング山の4つの国立公園を含み、山脈、河川、氷河、フィヨルド、ブナとリームーの森林からなる雄大な自然が特色で世界遺産に指定されている。
41
バリンジャー隕石孔
(米国)

(N35 00/W111 00)
世界最初に確認されたインパクトクレーター,バリンジャー・インパクトクレーター,アリゾナ州,米国
The world's first Confirmed Impact Crater, Barringer Impact Crater, Arizona, USA
 米国アリゾナ州北部、フラッグスタッフに近いコロラド高原にある直径約1.3km、深さ約145mのインパクトクレーター。メテオールクレーターとも呼ばれる。隕石が衝突した際に生成される鉱物であるコーサイトやスティショバイトの発見によって世界で最初にインパクトクレータとして証明された。
 ほぼ水平なペルム系の砂岩層と石灰岩層への衝突によりできたため、インパクトクレーター特有のめくりあがり構造が顕著。衝突年代は約5万年前で、孔の大きさから直径約80m、重さ約200万トンの隕鉄が秒速約20kmで衝突したと考えられている。乾燥地であるためクレーターの原型がよく保存されており、衝突によって形成された様々な地質構造が見られる。
42
フレダフォート環状構造
(南アフリカ)


(S27 10/E27 30)
世界最大のインパクト・クレーター,フレダフォート環状構造,南アフリカ共和国
The world's largest size of impact crater, Vredefort Ring Structure, South Africa
 南アフリカ中央北部、ヨハネスブルグ南西約120kmに位置するフレダフォート環状構造。この環状構造は未確定のインパクトクレーターではあるが、隕石の衝突環境下で形成される鉱物が産出することなど多くの地質的な特徴から、約20億年前に形成されたインパクトクレーターであると考えられている。直径は100km以上に及び、インパクトクレーターと推定されるものの中で世界最大規模のものである。この画像はその南西部の一部を撮影したものである。
  フレダフォート環状構造の地質は中央部に花崗岩質片麻岩を主とする基盤岩類が分布し、外側に向かって新しい地層が分布する。さらにそれら新しい地層を基盤岩類が取り囲むような分布を示すことが特徴である。
43
マニコーガン環状構造
(カナダ)


(N51 25/W68 40)
カナダ楯状地の巨大環状構造,マニクーガン・インパクトクレータ,ケベック州,カナダ
The world's largest class of impact crater, Manicougan Imapct Crater, Quebec, Canada
 カナダ東部、ケベック州のラブラドール高原南部にあるマニクーガン・インパクトクレーター。未確定ではあるが世界最大規模のインパクトクレーターのひとつとされている。およそ2億年以上前の隕石の衝突によって生成され、氷河の南下・後退、その後の浸食過程により削り取られて低くなったものとされている。
 現在ではこのクレーターはマニクーガン貯水湖として豊富な水資源を蓄え、その貯水は途中で大水力発電所を通り南下してセントローレンス川に流れ込む。
 地球では地殻変動や浸食などの絶えまない地形変化などにより、インパクトクレーターの形跡の大半は消し去られているが、カナダ楯状地のような比較的安定した地域には集中して発見される。
44
ウォルフクリーク隕石孔
(オーストラリア)


(S19 10/E127 50)
確定された第2の規模のインパクトクレーター,ウォルフクリーク・インパクトクレーター,オーストラリア
The world's second largest impact crater, The Wolf Creek Impact Crater, West Australia
 オーストラリア中央北部、西オーストラリア州と北部準州の境界付近に位置するウォルフクリーク・インパクトクレーター。その形状が比較的良く保存されているもののひとつ。直径約840m。約30万年前の隕石の衝突により形成された。確定されたインパクトクレーターでは、米国バリンジャーに次ぐ大きさをもつ。
 ほぼ平坦な砂漠の中に、円形構造が明瞭に認められる。クレータの周縁部は比高25mを有し、内部のへこみも周囲から25m低い。クレーター周囲には衝突で生成された物質や隕鉄のかけらが発見されている。
 この地域南方の内陸部には広大なグレートサンディー砂漠、ギブソン砂漠が広がり、人間の行く手をさえぎっている。
45
ロッターカム環状構造
(ナミビア)


(S27 45/E16 20)
砂に覆われた環状構造,ロッターカム・インパクトクレーター,ナミビア
Impact crater coverd with desert sand, The Roter Kamm Impact Crater, Namibia
 アフリカ南西部ナミブ砂漠南端付近に位置するロッターカム・インパクトクレーター。クレーター内部は風成堆積物で埋没しているが、クレーター外縁部はみごとな円形の形状を示している。クレータの径は2.5km、約370万年前の隕石の衝突によって形成されたとされている(ただし未確定のクレータ)。
 クレーターの外縁部は基盤岩である先カンブリアの地層ではなく、隕石の衝突により生成された衝突角レキ岩により構成されている。
 ロッターはドイツ語で赤(rot)を意味し、太陽高度が低い早朝あるいは夕方にクレータが赤く染まることから、その名が付けられた。
46
ワフラ油田
(サウジ・クウェート国境)


(N28 45/E47 45)
中東の石油,ワフラ油田,サウジアラビア・クウェート国境地帯
Oil resource in the neutral zone, Wafra Oil Field, Kuwait - Saudi Arabia
 サウジアラビアとクウェートにまたがるアラビア卓状地は、古生代から現在までの厚い堆積物に覆われており、地下5,000〜9,000フィートに及ぶ地層に膨大な石油資源が胚胎されている。画像の付近では、5つの生産井から日産約59万バレルの石油が生産されている(1999年)。また、埋蔵量は約50億バレルといわれている。この地域 は乾燥した砂漠地帯であり植生が皆無のため、画像中のワフラ油田の生産施設や道路が明瞭に見分けることができる。ワフラ油田は、Getty Oil社によって、現在生産されている油田の中で最も早く(1953年)発見された。その後Texaco社とKOC社が生産を行っている。
47
ビンガム鉱山
(米国)


(N40 30/W112 15)
世界最初に開発された斑岩銅鉱床,ビンガム鉱山,ユタ州,米国
The world's first develped open pit porphyry copper mine, Bingham Mine, Utah, USA
 米国ユタ州、ソルトレーク市の南西約20kmビンガム渓谷にある典型的な斑岩銅鉱床の露天掘り鉱山。地質はペンシルバニア系を貫く古第三系モンゾニ岩質斑岩からなる。斑岩中に網状〜鉱染状をなす銅鉱床と、石灰岩層を交代したスカルン型銅・鉛・亜鉛・銀鉱床を有す。斑岩貫入岩体から外側に、銅→銅・鉛・亜鉛→鉛・亜鉛・銀→銀・金の累帯配列がある。
 1904年、世界最初に開発された斑岩銅鉱山として有名である。画像左上には廃屑池が見える。
 ビンガムの名は、1848年にこの地を開拓したモルモン教徒ビンガム兄弟に由来する。
48
エスコンディーダ鉱山
(チリ)


(S24 10/W69 00)
世界最大の斑岩銅鉱山,エスコンディーダ鉱山,チリ共和国
The world's largest porphyry copper mine, La Escondida, Chile
 南米チリの北部、標高3,000mを超えるアタカマ高原に位置するエスコンディーダ鉱山。エスコンディーダ鉱山は世界最大の銅生産量を誇るポーフィリーカッパー鉱床で、日本企業数社を含めた豪州鉱山会社によって1990年から生産が開始された。採掘された鉱石の一部は日本の精錬所にも運ばれている。
 画像からは露天採掘現場や鉱山施設を明瞭に識別することができる。
 本地域周辺にはZaldivar鉱床、El Salvador鉱床をはじめに金・銀・銅を主とする多数の鉱床が存在しており、植生がなく地表に変質帯が広がっているため、リモートセンシングデータを用いた変質鉱物の抽出技術開発に適した場所である。
49
オラパ・ダイヤモンド鉱山
(ボツワナ)


(S21 30/E25 40)

ボツワナ最大のダイヤモンド鉱山,オラパ・ダイヤモンド鉱山,ボツワナ共和国
The largest diamond mine in Botswana, Orapa Diamond Mine, Botswana
 アフリカ南部、ボツワナ共和国中央部に位置するボツワナ最大のダイヤモンド鉱山。世界最大のキンバーライトのひとつとしても有名。De Beers社が株式の85%を、ボツワナ政府が15%を所有するDebswana社により経営されている。1967年に発見された。
 最貧国のひとつであったボツワナを、世界のダイヤモンド市場を左右するまでにした鉱山である。この鉱山から生産されるダイヤモンドは、ボツワナのGDPの半分以上の収入をもたらしている(1971年)。ボツワナの切手にもオラパ鉱山が描かれている。
  画像ではオープンピットの様子だけでなく、周囲に何重にめぐらされる障壁が認められ、厳重な警備の様子がわかる。

50
ベネティア・ダイヤモンド鉱山
(南アフリカ)


(S22 30/E29 20)

南アフリカ最大のダイヤモンド鉱山,ベネティア・ダイヤモンド鉱山,南アフリカ共和国
The largest diamond mine in South Africa, Venetia Diamond Mine, South Africa
  南アフリカ共和国北州のメッシーナから80kmに位置する南アフリカ最大のダイヤモンド鉱山。世界最大のダイヤモンドシンジケートであるDe Beers社の所有。
 1990年に鉱山が開かれ、1993年から生産開始。1998年に4.5Mctのダイヤモンドを生産。
 ベネティア周辺には12本のキンバーライトパイプが知られており、そのうち現在は2本のパイプで採掘が進められている。現在はオープンピットで地表下400m付近まで採掘されているが、将来は坑内掘りに移行する。
 画像ではオープンピットの様子だけでなく、周囲に2重にめぐらされる壁、さらには専用の飛行場が認められる。